一般的に任意売却は、債権者と合意の上で行われるものです。したがって不動産の販売価格は【適正価格で早期に売却してもらい債権を回収したい】という債権者の意向をふまえるため、市場価格(実際に不動産市場で取引されている価格)に近い価格となります。この点は売却基準価額が市場価格の7割から8割となってしまう競売との明確な違いです。
不動産所有者の方も高い価格で売却ができれば、その分多くの返済にあてることが可能となり、残債務を減らすことができます。
任意売却における最大のメリットは、残債務(債務額−売却代金からの債務支払額)について、債権者と前向きな交渉が可能になることです。
元々、ローンの返済ができなくなりご自宅等を売却せざるを得なくなった方が、売却後も残債務を返済し続けること自体困難ですが、任意売却においては債権者と残債務の返済方法や月々の返済額について交渉が可能となります。
債権者が不動産所有者の売却後の経済状況等を考慮し、返済方法や月々の返済額について売却後の生活に支障のない程度(数千円から数万円)での返済を承諾してくれる可能性が高いのです。
所有者と買主が合意の上で売買契約を締結する点では、任意売却も通常の売買となんら変わりません。したがって、引越し時期についても買主と協議し決めることが可能となります。
通常、居住中の不動産を売却する場合は契約締結から所有権移転まで1ヶ月〜1ヶ月半の期間を設け、その間に居住者にお引越いただきますが、任意売却においても同様の引越し猶予期間を設けることは十分可能です。債権者もこの程度の期間は考慮してくれる場合がほとんどです(既に競売手続きが開始され開札時期が迫っている場合、競売回避を踏まえ猶予期間が短くなります)。
任意売却においては、売却代金が負債額(住宅ローンなどのの負債残額)を下回る場合がほとんです。そのため任意売却を検討している方の中には「せっかく売却しても売買代金全額を債権者に支払う必要があるのでは?」と思われる方がいるかもしれませんが、それは違います。
実際の任意売却時には下記項目が売買代金から控除される(支払われる)のが一般的です。そのなかでも、引越し費用(一般的に数十万円)や仲介手数料(売買価格の3.15%+6.3万円)が控除されることは大きなメリットです。
・抵当権等抹消登記費用
・固定資産税、市県民税等の滞納税
・管理費等の滞納金※マンションの場合
・引越し費用
・仲介手数料 等
※各債権者により上記控除項目および控除額は異なります。
所有者の方が極力、近隣に売却を知られたくない場合には、そのご意向をふまえ売却に支障がない範囲で広告等を考慮しながら秘密裏に販売活動を行うことも可能です。
このことは、官報や不動産競売物件情報サイト(BIT)等で売却情報が全国的に知られてしまう競売との明らかな違いです。
任意売却においては債権者から合意をとりつけることが最大の課題となりますが、不動産所有者本人が債権者と任意売却の交渉(任意売却の同意、滞納税、管理費滞納金、引越し費用などの控除)をおこなうことは精神的にも非常につらく、困難なことです。
任意売却を専門とする私たちは、長年の経験からこの問題を解決することに特化しています。債権者との交渉に際し所有者の方に極力ご負担がかからないよう私たちが全力で交渉に当たり、売却合意をとりつける最善の努力をいたします。
競売による強制的な売却と違い、任意売却はご自宅を所有者の意志で売却できますので心理的な負担も少なくご近所等に対する気遣いも少なく済みます。
また債務整理後の再スタートをするにあたり、競売で強制的にマイホームを失うのではなく、ご自身の自由意思で売却できたことは今後の励みになると思います。