自己破産は、債務を免除するための前提として、債務者の換価できる財産の全てを現金化し債権者に支払うことになります。したがってマイホームや破産者名義の土地建物などの不動産は換価(売却)されてしまい債権者への配当原資となります。また破産者が勝手に財産を処分する権利もなくなります。
債務者の債務に保証人や連帯保証人もしくは連帯債務者(以下、保証人等)が保証をしている場合は、債務者が破産の申立をすると債権者は当然に保証人等に債務の請求をおこなってきます。
したがって破産を検討する場合、必ず事前に保証人等に相談し、場合によっては保証人等も債務整理などを検討するとこが肝要です。
裁判所が破産手続き開始決定および免責決定の確定をおこなうと、「官報」という政府発行の刊行物にその旨が掲載されます(計2回)。官報には破産申立人の住所、氏名が記載され図書館やインターネットでも閲覧(掲載日から30日間)できますが、一般の人が官報に目をふれる機会は少ないと言って良いでしょう(金融機関等が利用する「個人信用情報機関」のなかには官報に記載された自己破産者情報をデータベース化し管理している機関もあるようです)。
破産管財事件になると破産者の逃亡や財産の隠蔽を防ぐため、破産者は破産手続きが終了するまでの間、裁判所の許可を得ない限り自由に引越しや長期間の旅行に行くことは禁止されます(破産法第37条)。ただし、同時廃止事件の場合には、引越しや旅行に対する制限はありません。
裁判所が破産手続開始決定をおこなうと、破産者の本籍地を管轄する市区町村の破産者名簿に氏名が掲載されます。ただし、この名簿は身分証明書を国が発行する際に破産者でないこと等を確認するためのものであり、一般の人には公開されません。
また名簿に掲載される期間は免責決定を受けるまでであり、免責決定後は裁判所からの通知を元に名簿から抹消されます。
基本的に自己破産は何度もおこなうことは可能です(実際には少ないと思いますが・・)。しかし、一度、自己破産の免責許可決定を受けるとその後7年間は自己破産を申立てても、免責不許可事由に該当するため免責許可決定は下りず結果、自己破産はできません。
破産手続開始決定がなされると、破産者は弁護士、司法書士、土地家屋調査士、税理士、行政書士、宅地建物取引主任者、警備員などの一定の資格制限を受け代理人や後見人にもなれなくなります。しかし、免責許可決定を受けた後は、上記の資格制限はなくなります。
破産事件になると裁判所は郵便局および民間事業者に対し、破産者にあてた郵便物などを破産管財人に配達するよう嘱託(依頼)しますので破産者の元へは届かなくなります。また破産管財人は必要に応じ、その郵便物などを開封し中身を確認することができます。
自己破産すると官報に掲載されますが、金融機関等が利用する信用情報機関(JICC等)はこれをデータベース化(いわゆる「ブラックリスト」)し与信審査の際に利用します。したがって、破産後約5年から10年(金融機関により異なります)の間はクレジットカードの作成や住宅ローンの借入れは難しくなります。